【知って得する猫の豆知識】猫の自己主張とテリトリー意識
猫は性的な成熟を迎えるとオスもメスも臭腺からニオイを発してフェロモンを出します。
臭腺やおしっこをして、フ自己主張をして、自分のテリトリーを確保します。
問題行動である、スプレーもマーキングして縄張りを主張するためのものなのです。
こすりつけマーキング
自分のニオイをつけて相手のニオイを確認
猫はおでこやシッポ、体全体を飼い主の腕や足にこすりつけることがあります。
こすりつけるのは、飼い主のことが大好きという愛情表現ですが、実は別の意味も含まれています。
自分のニオイを飼い主に付けることで、ニオイの交換を行っています。
ニオイの交換を行って、飼い主から少し離れたところで、こすりつけたところのニオイを確認します。
おしりの周りの強いニオイを出す場所
臭腺とは皮膚にうるおいを与える脂を出す場所で、強いニオイを出す臭細胞が集まった部分です。
スカンクやイタチの「肛門腺」は有名で、とても臭いイメージがあるかと思います。
外敵に襲われたときに筋肉を収縮させて臭い液体を噴射します。
猫や犬にも「肛門腺」が存在しており、お手入れの一環として取り入れてあげるといいでしょう。
頭こすりつけは挨拶からのマーキング
シッポには「尾線」、おでこの両側には「こめかみ線」、上唇の周りには「周口線」、下あごには「おとがい線」などなどの臭腺が存在します。
「尾線」「周口線」「おとがい線」は、特定のマーキングをするときに使います。
「こめかみ線」は、顔見知りの猫同士が頭をこすりつけ合って、挨拶をするときに使います。
母猫が子猫に向かってするとこもあったり、飼い主に対しても頭をこすりつけ、挨拶がてらマーキングをしています。
こすりつけは性的な意味がある
臭腺は「フェロモン分泌腺」と考えられ、メスが遠くのオスを呼び寄せるために出すためとされています。
フェロモンは特定反応を起こす物質で、性フェロモンの代表的なものは「肛門腺」です。
ニオイは性的な意味もあるため、子猫がこすり付けたりすることはあまりしません。
爪とぎもマーキング
爪の出し入れは保護のため
爪とぎ器で爪をとぐのなら問題ないですが、壁や家具で行われたらたまったものではありません。
出し入れできるかぎ爪は、猫の最大の特徴と言っても過言ではありません。
猫の先祖を遡ると樹木と地上の両方で暮らすようになり、木に登るときだけ爪を出して、それ以外の普段は爪をしまうように進化していきました。
縄張り主張のためになるべく高いところで爪をとぐ
爪とぎの第一目的としては、薄い層が重なってできな爪の一番上をはがすことです。
先端のとがりが鈍くなると剥がして、下の鋭い層の爪を出します。
爪をとぐと同時に、肉球から汗が分泌されるため、ニオイが付き縄張りのマーキングとなります。
ニオイが強くないため、おしっこなどのマーキングに比べて効果は薄いです。
期待している効果は、高いところに傷をつけることで大きな猫が付けたに違いないと思わせるところにあります。
自分を大きく見せるためなのか、爪をとぐ時に背伸びをしてより高いところに傷をつけようとします。
低いところの爪とぎは本当の意味で爪とぎではない
ペット猫は今やっていることを中断させられてりすると、爪とぎをするそぶりを見せます。
獲物を取りそこなったときなど、「気分を紛わす」ために爪とぎをすることもあります。
ソファや家具などの低いところで爪とぎをするのは、本当の意味では爪とぎではないのかもしれません。
<爪とぎの役割>
- 新陳代謝促進・・・一番上の層の爪を剥がして新しい爪にする
- マーキング・・・といだ傷跡とニオイでマーキング効果がある
- ブラッシング・・・舌が届かない場所には爪がブラッシング変わり
- 木登り・・・木登りをするときに爪を幹にひっかけて登る
- ケンカ・・・爪をたてて相手をひっかくことができるようにするため
- ストレス発散・・・失敗したなどの時に心を落ち着かせる
おしっこのマーキング
スプレー行為
猫はハンティングエリアをパトロールするときに、立木や石や草むらなど目立つものにおしっこを噴射してマーキングします。
特に大人のオスに多い行動ですが、去勢したオスやメスにも見られます。
去勢したオスや、メスが行った場合には、頻度が少ないことととニオイが比較的穏やかなのでめったに気づきません。
スプレー行動は名刺変わり
マーキングポイントでは、だれがいつ来たか、体の状態はどうかといったような情報を嗅ぎます。
別の猫がニオイをつけていて、その猫に出会いたくない時にはよそへ去っていきます。
マーキングも高いところに付けたがり、拡散距離が大きくなることを狙っています。
膀胱がいっぱいであるときは噴射量が多くなりますが、ほぼ空の時は少しずつだし、出なくてもスプレー行動はやめません。
オスのおしっこはニオイがきつい
おしっこに含まれる性フェロモンは、タンパク質がもととなっています。
タンパク質の量がニオイと関係があり、オスの方がメスよりニオイがきついです。
成熟したオス猫の場合は、メスの4倍のタンパク質が含まれていて堪ったものではありません。
猫のテリトリーとパトロール
テリトリーを作る理由
猫は孤独な動物で、ほかの個体の侵入を許さないテリトリーを作ることで食べ物などを確保します。
食べ物を取れる場所が多ければテリトリーが狭くなり、取れる場所が少ない場合には広くなります。
マーキングしたニオイが消えないうちにテリトリーをパトロールして、よその猫が入ってきていないか、新参猫がいないかチェックをします。
ホームテリトリー
ホームテリトリーは、寝場所や子育てをする場所を指し、野生猫の場合にはテリトリーの中心は誰も寄せ付けません。
ホームテリトリーの周りには、獲物を捕らえるための狩場があり、数頭で共同生活している場合にはシェアして暮らしています。
室内飼い猫のテリトリーとパトロール
完全室内飼いの猫が普通になってきた近年では、パトロールするのは猫本来の習性のためと言われています。
強い衝動が突然起こり、室内を外の世界に見立てて家の中をチェックのためにパトロールをします。
猫の好みの場所がホームテリトリーとなり、ここには誰も入れたくありません。
多頭飼いの場合でも、別の個体がホームテリトリーに寝そべっていたりすると腹を立てます。
室内飼いの猫のホームテリトリーの境界線を引くことは難しく、フードはあるし飼い主がかわいがってくれるので不満なく暮らせます。
トイレ、ふろ場、玄関などがなどのすべてのスペースが狩場としてみていることでしょう。
毎日、寝場所を出て部屋の隅でくつろいだり、トイレをのぞいたり、玄関を確認しに行ったりしているのは室内パトロールをして変わったところはないか、縄張りを脅かされていないのか確認しています。
まとめ
猫は、安心して安全に暮らせる場所を確保して生活をするのでテリトリーをとても大切にします。
スプレー行為や爪とぎなどでは本能のマーキングのためですが、飼い主を困らせる行動なので改善するように努めましょう。
室内飼いの猫には家がテリトリーで、いつもパトロールをして守っているのです。